【脳科学に基づいて考察】人間が咀嚼を行う意味とは? | 浦和もちまる歯科・矯正歯科クリニック

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【脳科学に基づいて考察】人間が咀嚼を行う意味とは?

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カテゴリ: 歯科コラム

浦和もちまる歯科のスタッフの小林です。

最近の子どもたちは顎が小さく、噛む力が弱いという話をよく耳にすることがありますね。

先日友人に会った時も、お子さんの顎が小さいから、将来矯正が必要かな、と心配していました。

近年の我が国では社会情勢や食生活習慣の変化により、「食の重要性」が軽視されており、食の欧米化、偏食など、子どもを取り巻く栄養・食生活環境の問題が指摘されています。

当院でも、

「朝ご飯何を食べてきたの?」

と聞くと

「コーンフレーク」「トースト」「ドーナッツ」などとお答えになるお子様が多く、

食の欧米化を感じます。

 

厚生労働省が発表した平成17年度乳児栄養調査の概要によりますと、「よく噛まない子」は平成10年度までは12,6%でしたが、平成17年度では20,3%に増加しています。

よく噛まないことによって学力や運動機能の低下、および心理的問題の原因となることが報告されています。

このような背景から平成17年7月、食を通して機能的かつ健康な口腔を維持することにより全身の健康増進を図ることを目的とする食育基本法が施行されました。

さらに、平成18年3月には食育推進基本計画が示され、家庭・教育機関・地方自治体などで食育推進運動を展開しています。これに基づき、「見て楽しみ、よく噛み、そして味わって食べること」が再評価され、歯科医学的立場からの食育に関するアプローチが重要であると考えられるようになりました。

では、咀嚼することの意義とは何なのでしょうか?

本来、咀嚼(かむこと)とは、口の中における食物を上下のあごの歯で噛み砕き、唾液と混ぜ合わせて嚥下しやすい大きさと硬さの「食塊」を形成する運動のことです。そして、胃の中で食物の消化吸収を助け、咀嚼機能と連動し、舌やあごの運動、あごの大きさや筋肉、そして味覚が発達するのです。併せて食事という行為により手指との協調性などを習得していきます。食物の香り、味わいを口の中に広げることにつながりますし、満福中枢を刺激することで肥満予防にも効果があります。また、家族や友人と一緒に楽しく食事をすることは、コミュニケーション能力の向上などにとても大切です。

~噛むことによる脳への効果~

さて、最初にお伝えしましたが、子どもを取り巻く環境で「噛む」行為の重要性が叫ばれています。その理由はいったい何なのか?

まず、あごが鍛えられないと歯を支えるあごの骨や筋肉の発達を阻害し、顎顔面の形成に悪い影響を及ぼします。さらに、大人の歯(永久歯)への交換期にある子どもたちの歯並びへの影響も考えられます。それだけでなく、歯並びが悪いと食べ物が詰まりやすく歯ブラシもしにくくなり、虫歯や歯周病の原因にもなります。それだけ成長期の子どもにおいて「噛む」行為はとても重要なのです。また、「噛む」ことが重要なのは必ずしも子どもだけではありません。老人介護の現場では、認知症の程度が進行するにつれて口腔機能が悪化するという報告があります。「噛む」という動作についてヒトでの脳活動を調べた研究では、日常生活において噛む回数が多い人ほど大脳皮質の運動野(こめかみの後方部)が強く活性化されるということが報告されています。近年の研究では咀嚼が脳に刺激を与えることで、脳内でさまざまな神経物質が分泌され、記憶力の向上やリラックス効果が得られることが注目されています。

 

~咀嚼と海馬機能~

記憶の形成に重要な脳領域に海馬と呼ばれる部位が存在します。この海馬の構成部位の一つである歯状回では、神経新生(神経細胞の誕生)が行われ、記憶・学習能に関与することが判明しています。この新生ニューロンは、豊富環境や適度な運動をすることで活性化されることが報告されていますが、よく噛むことが生活の質(QOL)の向上につながり、さらには豊かな環境につながると考えられます。

小児期における食物性状の違いや歯を喪失した環境下での海馬歯状回における新生細胞数との関係を動物実験により調べた報告があります。実験内容は、生後4週齢のラットを硬い餌、やわらかい餌、および上顎臼歯を抜歯し、軟らかい餌を与えた3グループに分け、18週齢まで飼育し、細胞数を計測しました。その結果抜歯した群では硬い餌を与えた群と比較し、空間記憶能が障害されることがわかりました。

このような結果は、幼児期における口腔内の感覚情報が成人期の神経新生に影響を与え、空間認知機能(記憶力)に影響を及ぼすことが考えられます。

 

これらのことから、幼児期からよく噛んで食べる習慣を身につけることが重要となります。

生涯楽しんで食事をとることができるよう、幼児期から咀嚼力を身につけたいですね。

 

浦和で矯正歯科をお探しの方は、浦和もちまる歯科・矯正歯科クリニックまでご連絡下さいませ。

 

 

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