【ホワイトニング】成分・効果・安全性・問題点について詳しく解説!
投稿日:
カテゴリ: ホワイトニング
「歯を白くしたい!」と思う方も多く、歯列矯正や補綴(ほてつ)に比べると安く始めやすいのがホワイトニングです。
「歯を痛めるのかな?」
「強い薬だと体に害があるのかな?」
など、ホワイトニングをしたいけど少し不安だな…と思っている方も多いのではないでしょうか?
ホワイトニング剤は、種類によって異なりますが成分を知り、正しい使い方をすることで安全にホワイトニングを行うことができます。
今回は、
の2種類について、ホワイトニング剤の成分・効果・安全性・問題点を中心に詳しく解説していきます。
ホワイトニングについて事前に知っておくことで、安心して始めていただけると思います。ぜひ最後までご覧ください。
ホワイトニングの成分や漂白作用について

「ホワイトニング剤は、どんな成分が入っているの?」
「ホワイトニングをすると、なんで歯が白くなるの?」
など、ホワイトニングについてよく分からないことがありませんか?
ホワイトニング剤は、
- オフィスホワイトニングで使用する過酸化水素
- ホームホワイトニングで使用する過酸化尿素
があり、過酸化物による有色物質の分解作用を利用して歯を白くしていきます。ホワイトニングの成分や漂白作用について、分かりやすく説明していきますね!
1.オフィスホワイトニングの成分や漂白作用
オフィスホワイトニングとは、クリニックで行うホワイトニングです。オフィスホワイトニングでは、過酸化水素という薬剤を使用して歯を白くしていきます。
「過酸化水素って何?」と思う方でも、「オキシドール」と聞くと知っている方も多いのではないでしょうか?
2.5%〜3.5%の過酸化水素は、オキシドールなどの消毒剤として使用されている薬剤です。オフィスホワイトニングでは、35%の高濃度の過酸化水素を使用していきます。
過酸化水素は、組織・細菌・血液・膿汁などに存在するカタラーゼ(酵素)で分解され、フリーラジカルというものが発生します。
フリーラジカルは、着色を分解し無色にしてくれる働きがあります。この漂白作用により、歯が白くなっていきます。
フリーラジカルが多く発生すると、その分漂白作用していきます。
などの方法によりフリーラジカルが発生しやすくなります。
オフィスホワイトニングでは、
- 高濃度の35%過酸化水素を使用
- 薬剤は基本冷蔵保存ですので、使用したときの口腔内の温度
- 光照射
により、漂白作用を促進させ歯を白くしていきます。
2.ホームホワイトニングの成分や漂白作用
ホームホワイトニングは、マウスピーストレーを使用しお家で行うホワイトニングです。
ホームホワイトニングでは、過酸化尿素を主成分とした薬剤を使用していきます。
過酸化尿素は、尿素と過酸化水素が弱く結合した物質です。結果的に、オフィスホワイトニングと同じで過酸化水素が歯を白くしていきます。
過酸化尿素は、唾液中の水分との接触や体温により、尿素と過酸化水素に分解されます。
過酸化尿素の分解によって生じた過酸化水素がさらに分解して、フリーラジカルが発生していきます。
先ほどと同じで、フリーラジカルの漂白作用により歯が白くなります。
また、分解産物である尿素は歯質の微量なタンパク質に作用して漂白の効果を促進すると考えられています。
オフィスホワイトニングに比べると過酸化水素の濃度は低くなり、漂白作用は緩やかになります。
ホワイトニングでどこまで白くなるの?

ホワイトニングは、一体どこを白くしているのでしょうか?歯の表面だけなのか内部まで白くできるのかよく分からないという方も多いでしょう。
どこまで白くなるのか実験をした結果があります。その結果によると、ホワイトニング剤は歯の表面のみならずエナメル質を透過してエナメル象牙境・象牙質まで白くなることが分かっています。
歯の外側だけでなく、内部まで漂白作用しているということです。
エナメル質は半透化性であることやエナメル質表面のエナメル葉やエナメル叢・微小なクラックにより内部まで漂白されていると考えられています。
なお、ホワイトニングをすると特に犬歯や中切歯で歯のクラックが目立つようになるケースがあります。
これはもともと存在したクラック内部の有機物が除去され、照射光線の角度により目立つようになるからです。
術前の歯の色の観察や状態の把握を患者と確認をしつつ、しっかり行いホワイトニングをしていくことが大切です。
ホワイトニングの安全性について
「ホワイトニング剤は安全なもの?」
「歯や体に害はないのかな?」
と思いますよね。
漂白と言われるとハイターなどを思い浮かべる方が多いと思います。
「ハイターを歯に塗るなんて歯に悪そうだな…」
と感じる方もいるでしょう。
オフィスホワイトニングとホームホワイトニングで成分や薬剤の濃度も違い、一概に何も害がないとは言えません。
しかし、しっかり指導を受けた上で使用してもらえれば安全にホワイトニングを行うことができます。
の2つについて順番にご説明していきます。
オフィスホワイトニングの安全性

オフィスホワイトニングで使用する35%の過酸化水素は高濃度です。「高濃度の薬剤になると歯を痛めるのかな?」と気になるところだと思います。
35%過酸化水素を含むホワイトニング剤を適用したエナメル表面を2万倍の高倍率でみると表面が荒れています。
しかしながら、ホワイトニング材による表面性状の変化は、酸性飲料よりも軽微で唾液による再石灰化作用で回復するので安心してください。
注意点としては、ホワイトニング直後ですと歯の表面が回復していないため、飲食を控えていただくことくらいです。
また、高濃度の過酸化水素は取扱いに注意が必要になります。
歯ぐきなどの軟組織にホワイトニング剤が接触しないように十分な注意が必要です。
歯肉や口唇、頬粘膜にホワイトニング剤が触れないように、軟組織保護を適切に行いホワイトニングをしていきます。
もし誤って付着した場合には、
- ただちに多量の水で洗い流す
- ビタミンEを含む軟膏を塗布する(接触後の歯肉の白色化や疼痛軽減に有効であるとされています。)
衣服についた場合には、脱色と繊維の劣化作用が起こります。十分な水で洗いましょう。
ホームホワイトニングの安全性

オフィスホワイトニングとは違い、低濃度の薬剤になります。ホームホワイトニングで使用する10%過酸化尿素ジェルは、15年以上のホームホワイトニング使用実績で重篤な副作用は報告されていません。安全性の高いホワイトニング剤です。
カスタムトレーから溢れたホワイトニング剤が口腔内に流れ、気になる方もいると思います。誤って飲んだ場合でも問題ないとされています。
薬剤自体も扱いにくいものではなく、患者さんにも安全に使用していただけるものです。しっかりクリニックで指導してもらい、ホワイトニングをしていきましょう。
ホワイトニングの問題点

「ホワイトニングするとしみるって聞いた」
「ホワイトニングは誰でもできるの?」
とホワイトニングの問題点ってないのかなと思っているでしょう。
- ホワイトニングができない方
- ホワイトニングによる知覚過敏
- 後戻り
がホワイトニングの問題点として挙げられます。
ホワイトニングをしたいなと考えている方は、ぜひホワイトニングをする前に知っておきましょう。
象牙質(ぞうげしつ)知覚過敏症
ホワイトニングの際に知覚過敏が生じることがあります。これは、内部の象牙細管まで浸透し、歯髄を刺激することにより生じます。
高濃度の薬剤の使用や長時間の使用でも症状が出てきます。クリニックで指示された通り使用しているか確認をしましょう。
問題なく使用して知覚過敏が生じた場合は、ホワイトニングを一時中止します。その後、シュウ酸やCPP-ACPなどの再石灰化を促す成分が入っているものを使用し、象牙質知覚過敏処置を行っていきます。
症状の改善後は使用時間を短くしてホワイトニングを再開することが肝要です。ホワイトニング中の知覚過敏は一時的な症状で、ホワイトニングを一時中止や終了してしまえば収まることがほとんどです。症状がでた場合は無理せず、クリニックで診察してもらいましょう。
後戻り
ホワイトニング直後は、エナメル質表面を覆っているペリクルが除去されるため、歯面に色素が付着しやすい状態になります。
(※ペリクルとは…歯の表面を覆っている獲得被膜のこと。保護してくれる膜のようなものです。)
- オフィスホワイトニングの施術後24時間
- ホームホワイトニング実施期間中
この間は、着色しやすい飲食物(カレー、ワインなど)の摂取は控えるようにしましょうね。ホワイトニング後は、2週間くらいの間に多少の後戻りがありますが、その後は比較的安定します。
患者さんの生活習慣や嗜好品・セルフケアの状況により、明度が徐々に低下していきます。後戻り防止策として適切なセルフケアを行い、付着するプラーク量をできるだけ少なくする必要があります。
歯磨剤はステイン除去効果のあるものや歯面を滑沢にして付着しにくい状態にするものを使用するとよいでしょう!
1ヵ月から3ヵ月に1回程度のPMTC(クリニックでのクリーニング)を行い、必要に応じてタッチアップホワイトニングを行うことで持続させていきます。
まとめ

ホワイトニングは、手軽に行える審美的な治療の1つです。
歯の色を白くしたいと思う方も多く、ホワイトニングをしている方も増えてきています。
ホワイトニングは、使い方や取り扱い方を間違えなければしっかり効果が出ます。
ネットなどでも簡単に薬液は買えますが、保存方法が雑で薬剤の劣化していたりどんな成分が入っているか分からなかったりします。
とくに、ホームホワイトニングのように自分で行えるホワイトニングは、自分だけの判断で間違った使い方などしないよう注意をしましょう。
また、ホワイトニングができない方・できない歯もあります。
安全に行うためにもしっかりとクリニックで説明を受け、薬剤などを購入することをおすすめします。
オフィスホワイトニング、ホームホワイトニングと2種類から自分に合ったホワイトニングの方法をクリニックで相談し決めていきましょう!
